松江かわら版 No9

利権、利権で たそがれゆくふるさと 島根と松江・・そして日本

松江に帰って6年。市内で進行中の出来事は目や耳で、市政は「松江市報」や「市議会だより」でチェックし、疑問や意見はどんどんメールし電話もした。「松江かわら版」なんていうのも発行。懐かしきふるさとの良さを出来る限り残し発展させていきたい、そんな思いの最大限の努力だった。そして今、国民の安全・福祉よりも利権の国政、市民や県民よりも利権の地方政治に心の底から絶望し、無力感とむなしさに落ち込んでいる。

どんな問題を追及しても改善案を提示しても、いきつく先は利権の壁。あるいは市や県のお役所仕事の無気力さ。市・県職員の中にも本気で前向きに仕事に取り組んでいる方たちもいる。全体の1割。電話の声を聞いたとたん分るようになった。そういう方たちが直面するのも同じ利権とお役所仕事・・・事なかれ主義の上司と同僚、金、無気力。

あの〜、島根も松江もそして日本も、滅亡の危機にあるのですが。財政的にも、社会福祉においても、放射能まみれの環境と食においても。

【島根原発】・・究極の利権

しばらく前に松江市原子力安全対策課から「原子力災害発生時の避難計画」が地区ごとに配布された。これを見て、松江市の旧市街からの避難など不可能だと気づいた方も多いと思う。原発5kmより市街地で、しかも原発のある北側から南に渡る橋は4本。うち松江大橋は過重な交通で崩壊の恐れも。城下町の中心にある県庁と市役所は原発から8、5km。すぐ近くには日赤病院も。入り組んだ城下町の細い街路にどの家からも一斉に車が繰り出たら、渋滞というより身動きは不可能に。日中に事故が起こればそれはそれで問題だが、夜間に起きたたら当直の警察官くらいで他の警察官、県・市職員は避難する車と逆行して職務地に車を走らせてなくてはならない。今はネット時代で事故の情報は瞬く間に拡散され一斉に避難が始まる。道路はすぐに渋滞し立ち往生。たどりつけるのか?予想されるのはまったくの無法地帯。交通誘導をする人もいなければ、バス避難での集合場所に行っても扉は閉まったまま。もちろん対応をする人もいない。そんな事態が予想される。

今年6月に県は原発事故時の避難シュミレーションを発表。その中で使われるバスは450台?!人口20万人の松江市には市営バス63台しかない。それもほとんどが路線バス。それを指摘したら、次の週始めの定例会見にて知事が「いや〜、シュミレーションがちょっとラフすぎたので作り直します。」となった。これら何度もの質問や要望で実感したのは、松江市の安全対策課は真摯で一生懸命取り組んでいる。逆に県の方は中国電力の傀儡ではないかと思うほどやる気も誠意もない。シュミレーションの改定版も当分は出ないようだ。中国電力のために避難不可という現実を認める事を極力遅らせる努力をしているようにしか思えない。

放射能が飛散してきた時に事前に飲んでおけば、ヨウ素を体内に取り込んでも体外に排出する働きをする「安定ヨウ素剤」がある。大切なことは事前に飲むこと。直後であれば多少は効果がある。これを原発事故が起きてから配布しても手遅れになる。そもそも交通渋滞の中で配布など全く不可能である。事前配布しかない。この事前配布を県の地域医療支援グループに何度もお願いしているが、一向に配布の気配はない。ちなみに最初に備蓄されていた安定ヨウ素剤は約77万錠。新潟県は22万人分で約133万錠(年齢により摂取量は違う)。あれっ、島根県よりずっと多い。調べたら、新潟県は全員に3回分、島根県は40歳以下に2回分。島根県民の命って新潟県民よりずっと安いんだ。40歳以上の命なんてもう無価値。県に詰め寄ったら40歳以上の3回分、100万錠ほど買い足した。なお賞味期限は3年ですでに一回ほど廃棄処分で買いなおした。国から交付金が出るが結局は税金。

ここまできて疲れ果ててしまった。いったいなぜ、稼働しなくても存在しなくてもよい原発がこんな市街地のすぐそばに?島根原発は、2号機の定期点検中に百数十ヶ所の点検漏れが発覚し、2010年3月末に1号機も稼働停止。日本では前代未聞の事態だ。最終的には511か所の点検漏れ。2号機は同年12月28日に再稼働。1号機は以来停止したまま。

2010年の夏は猛暑で熱中症で死亡のニュースが毎日のように流れ、天気予報でも注意報が出るようになった。この酷暑に原発なしでなんの不足もなかった。つまりなくても問題は全くない。2号機は2012年127日に定期検査で停止し現在に至る。

 原発発電は一番安くて安全と言われてきたが、福島第一事故で安全神話は終わった。ではコストは?実は原発発電は、火力、水力発電などとは比較にならないほどの高コストである
原発発電料金 原子炉建設費、核燃料費、使用済み核燃料処理費(ガラス固体化)、処理済み核燃料保管費、廃炉費用積立金、廃炉後のメインテナンス料、原発近隣自治体から要請された寄付金(311以降はなし 最後は同年2月講武に1.5億円) 等

★3号機は出力が大きいので1、2号機を合わせた以上の費用がかかる。また日本では新型だが、欧米で必須のコアキャッチャーも無く2重炉でもない。
国税 原発交付金(なぜ多額の金を交付?) オフサイトセンター 他諸機関費用等
地方税 県の原子力安全対策課・原子力センター(正雇用21名、非正規4名)の人件費
県の安全対策施設、設備費。市の原子力安全対策課(5名)の人件費、等

―原発は利権のために存在するー

県民、市民の命と金を犠牲にしてまで、中国電力のために原発を稼働させたい知事、市長とは?

建設・土建事業】・・土建屋自民の通常利権

 松江に帰って驚いたのは、城山北公園線という4車線化事業。1kmの拡幅に111億円! 1mにつき

1110万円。こんな工事、横浜ではバシバシに叩かれる。何しろ朝夕に少し混む程度。都会では渋滞とは言わない。車が増える予測だったが人口減、老齢化、若者の貧困化で当初の3分の2以下に減った。問題は新大橋通りから米子町に曲がる角。そこさえ改良すれば3億円位ですんだはず。全てが万事、必要からではなく利権を落とすための土木工事つまづいて危ないから止めてくれという歩道遮蔽壁工事も続行。利権!
行事・イベント・博物館等】・・どんどんと増えて税金を食いつぶしつつある新利権。

 松江の武者行列は私にとって目新しかった。市民の手作りと聞き感動した。ところが実は、莫大な税金が。松江ってなんで1年中イベントだらけ?実はイベント会社等に落とす利権!お城にふさわしくない行事でもイベント会社への利権で止めようとしない。「平成の開府元年まちづくり構想」なんて意味も成果もない話し合いに税金2862万円。2357万円は仲介業者に。利権!保険料上げるな!

2014年10月10日刊
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